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 バイオリン製作をする父親のもとに生まれた「ジョセフ・アルフレッド・ラミー」(1850〜1919)は、12歳からミルクールで「ニコラ・ウッソン」のもと、弓製作を初めます。この頃パリでは、フランソワ・トルテの後期の影響を受けた力強いペカットのスタイルから、トルテの前期の影響を受けたスワン型で丸みを帯びた「ニコラ・ヴォワラン」のスタイルが主流になっていました。そしてラミーは26歳の時にパリへ出て、そのヴォワランのもとで働き始めます。メキメキと力をつけていったラミーのこの頃の作品は、師匠に勝るとも劣らない作品が少なくありませんでした。


そして、35歳の時に師匠のヴォワランが他界すると、自身の工房を構えます。この頃からラミーは黄金期を迎えるのですが、彼の作品はとても繊細にエレガントで弾きやすく、独自の柔らかい“ラミートーン”を生み出しました。
39歳になると、後に1900年代を代表する製作者となる「ユージン・サルトリー」が工房に出入りするようになり、彼の初期の作品に強い影響を及ぼします。初期のサルトリーの作品が、後期に比べて繊細でラミーに似ているのはそのためです。
そして、ラミーが50歳になった1900年には、パリのコンクールで金賞を受賞します。
その後、ラミーは息子の「ジョージ・レオン」と「ヒッポリー・カミール」の二人にも弓製作を教えるなど、後のフランス弓製作に大きな影響を及ぼした偉大な制作者の一人となったのです。
楽器や弓制作者の多くは、時期によりそのスタイルを変化させる事が多いのですが、彼は生涯に渡りエレガントで繊細なスタイルを貫いた製作者でした。


  この弓“ex Geloso” は、画像のようにフロッグのバックスライドに “Marjory Dorning” の刻印があり、リングには “Albert Geloso” と刻印されています。そして、この間にあるヒールプレートには、 “à” と彫刻されています。この “à” は、英語で “made for” を意味します。
つまりこの弓は、マジョリー・ドーリンがラミーに製作を依頼し、ジェロッソにプレゼントした弓だということが分かるのです。





アルバート・ジェロッソ  Albert Geloso  ヴァイオリニスト (1863-1916)

アルバート・ジェロッソは、ジェロッソ四重奏団の創設者であり、ソリストとしても大変人気のあったヴァイオリニストです。

画家パウル・クレーによると、1902年10月にベルンの劇場で、ジェロッソがサン・サーンスの協奏曲第3番を演奏しました。


ジェロッソ四重奏団のメンバーは、アルバート・ジェロッソ(第1ヴァイオリン)、ルシアン・カペー(第2ヴァイオリン)、ピエール・モントゥー(ヴィオラ)、フレデリック・シュネクリュード(チェロ)でした。
作曲家ブラームスは、ジェロッソ四重奏団の弾く自分の曲の演奏を、大変気に入っていました。
この四重奏団は、新しいベートーヴェン協会(1889年にカミーュ・シュヴィヤールの息子ピエール、シャルル・ラムルー、シャブリー、ダンディーら によって設立された)の専属カルテットでした。毎年ベートーヴェン後期の作品を演奏するという任務を担っており、スペイン人のジェロッソがリーダーでした。メンバーの変動がありましたが、カペーはある時期に第2ヴァイオリンに在籍し、歴代のヴィオラ奏者にはルイ・ファン・ヴェフルゲム、ピエール・モントゥー、ルイス・ベイリーがいました。







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参考文献
「Universal Dictionary of violin & bow makers」  著 William Henle
「Liuteria Itariana」  著 Eric Blot
「L’Archet」  著 Bernard Millant, Jean Francois Raffin