Carlo Giuseppe Oddone 「カルロ・ジュゼッペ・オドーネ」(1866〜1935)は、20世紀を代表する弦楽器製作家、「ハンニバル・ファニオラ」や「エミール・グエラ」等に大きな影響を与えた、トリノを代表する個性豊かな弦楽器製作家の一人です。




1866年11月7日にトリノで生まれた「オドーネ」は、13歳の頃から、当時イタリアで最も活躍していた工房「ジョフレド・ベネデット・リナルディ」の下で、弦楽器製作や修理・修復を学びます。その後、1889年にイギリスに渡り「ウィリアム・シャノー」の工房で2年間働きます。「オドーネ」はここで、イタリアの製作とイギリスの製作の違いについて学び、さらに、以前にフランスで働いていたことがある「シャノー」から、フランスの製作についても学びます。このことが、「オドーネ」の後の弦楽器製作に大きな影響を与えました。

「オドーネ」の製作した個性豊かなスクロールの渦巻きは、生涯同じスタイルを貫いていますが、これは、この時の「シャノー」の影響を強く受けたものと考えられます。





Carlo Giuseppe Oddone その後、1892年にイタリアに戻った「オドーネ」は、トリノで独立して自分の工房を構えますが、1894年までの2年間は、他の工房やディーラーなどのためだけに弦楽器を製作します。そして、1894年からは、自身の名を記したラベルを貼った楽器を製作しはじめました。この頃から「オドーネ」は、それまでのキャリアで培ったことをフルに発揮して、飛躍的にその完成度を増した素晴らしい楽器を製作していき、1890年代後半には、彼の黄金期を迎えます。

その特徴は、「シャノー」スタイルの作品や、「ストラディバリ」スタイルの作品、「ガルネリ」コピーの作品、あるいはそれらを上手く組み合わせて「オドーネ」独自の個性的なスタイルにした作品などがありますが、それらはいずれも奇を衒うことはなく、楽器本来の能力に悪い影響を与えない範囲での豊かな個性を表現しています。
ニスは、柔らかく深みのあるものが多く、作品の一つ一つが違う表情を持っているものの、どの作品を見ても「オドーネ」の個性を確かに感じることのできる見事な作品となっております。

また、パフリングを非常に細くして、コーナーの剣先をエッジから遠く離れた位置に埋めていますが、この細いパフリングを使って楽器全体を引き締まった雰囲気に見せる手法は、「ファニオラ」や「グエラ」にも大きな影響を及ぼし、1910年頃までこの手法がトリノで流行していたようです。
(トリノの作品が、フランスの楽器と似ている印象を与えている所以の一つがここにあります。)




Carlo Giuseppe Oddone

「オドーネ」は、この時期から安定して一定数以上の作品を製作していきますが、他の工房や、ディーラーのためにも楽器を製作し続けていたため、「オドーネ」自身のラベルを貼った作品には、例外なくそのラベルに製作番号を書き入れ、エンドピンの周りや、楽器内部の上部のブロックには、円形の「C. ODDONE TURINO」刻印が押されております。
また、チェロにはペグボックスの内側にもこの刻印が押されています。







1911年頃からは、「グエラ」とコラボレーションをした作品が存在しはじめます。
1917年8月には、51才で結婚して息子を授かりましたが、息子は弦楽器製作の道を選ばなかったようです。

そして、戦後になると「オドーネ」は、数多くの作品を製作していきますが、それは同時に、複数の弟子たちとのコラボレーションにより量産された楽器が多くなった事を意味します。とは言え、ベテランの域に達していた「オドーネ」が監修するだけあって、それら多くの楽器は、非常に完成度の高い作品ばかりでした。
ただし、1890年代後半から1910年頃迄の黄金期の作品と比べると、作品の深みや芸術性の高さは遠く及ばず、仕上げのニスも黄色く硬い単調な作品が多くなっております。
それでも、戦後に製作された楽器の音は、明るく華やかで音量のある楽器が多いため、現在でも多くの奏者に求められております。




Carlo Giuseppe Oddone



今回ご紹介する1899年製の「カルロ・ジュゼッペ・オドーネ」の作品は、製作ナンバー36番の作品で、イギリスの名門「ヒル&サンズ」が長い間コレクションしていた黄金期真只中の作品で、指板にはそのコレクションナンバーが残されております。
見事な木材で製作された楽器の作りと細工、シャープでキレのあるパフリングの剣先、見事な縁周りとエッジの仕上げ、ウイングの広い独自のf字孔、深みのある質感の高いニスなど、「オドーネ」の個性を随所に感じることのできる典型的な素晴らしい作品となっております。






1910年製の作品は、製作ナンバー74番の作品で、基本形は1899年製の作品とほぼ同じですが、ニスの質感が異なり、よりモダンイタリアンらしい艶のある質感となっております。深みのある低音と、明るく煌びやかな高音の響きを両立させた、「オドーネ」の黄金期後半の作品を代表する見事な作品となっております。











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参考文献
「Universal Dictionary of violin & bow makers」  著 William Henle
「Liuteria Itariana」  著 Eric Blot