MORIZOT freres
モリゾー兄弟



前回ご紹介したルイ・ジョゼフ・モリゾー(MORIZOT pere)には6人の息子がいます。
6人の内5人は弓職人となり、1人はバイオリン製作の道に進みました。
今回はその弓職人となった5人の息子をご紹介します。5人の息子達は父親の工房を引き継ぎ、生涯協力しあって弓を製作しつづけました。兄弟それぞれに役割を分担し、生活面でも、仕事の面でもバランスのとれた関係を築いていたようです。


【 MORIZOT freres の経歴 】
18992月4日 フランスのエピナルで長男 Paul Charles (通称チーフ)が生まれる。
19036月2日 ヴィッテルで次男 Louis Gabriel (通称 Fire man)が生まれる。
19079月8日 ミルクールで三男 Andre Auguste が生まれる。
19102月21日 ミルクールで四男 Paul Georges が生まれる。
19124月23日 ミルクールで五男 Marcel Louis (通称 Little old man)が生まれる。
5人の息子は全員父親の下で弓製作を学び、その後アシスタントとして働き始めた。
彼らは一人で全ての製作工程を行わずに、それぞれ役割を分担して一本の弓をつくりあげていた。そうする事によって、それぞれの能力が最大限に発揮され、効率よく高い品質の弓を製作する事が可能になった。
父親と同じスタイルで弓を製作した。また、焼印には父親と同じ“L.MORIZOT”を用いた。
1940長男 Paul Charles はフロッグ作りと経理、営業を担当。
次男 Louis はコントラバスの弓とフロッグを担当。三男 Andre は高級品の金属部分の加工と反りの研究をした。
四男 Paul Georges は弓の仕上げを担当。
五男 Marcel は安いクラスの弓の荒削りを担当した。
フロッグのアンダースライドは Hill スタイルで、固定する為のスクリューには太めの物を使用した。
19578月、父親の Louis Joseph が他界。
この時期から立て続けに、家族に不幸が訪れ、弓を製作し続けるのが、困難になり、生産量が徐々に落ちていった。
19597月、四男 Paul Georges が他界。
19692月、五男 Marcel が他界。
19702月、長男 Paul Charles が他界。
三男 Andre、次男 Louis は仕事をリタイヤし、それぞれの老後をすごした。
1978三男 Andre が他界。
1988次男 Louis が他界した。


MORIZOT 兄弟は、腕の良い職人であると同時に優れた教育者でもあり、多くの優秀な弟子を育ててきました。その中にはジャン・ジャック・ミランやベルナルド・ミラン、ロジャー・ロッテ、マルセル・ラピエール、そしてシャルル・アルフレッド・バザンなどがいました。MORIZOT 兄弟は伝統的なフランスの弓作りのスタイルを引き継いだ最期の職人といわれています。