「マリノ・カピキオーニ」(1895〜1977)は、イタリアに囲まれた内陸国のサンマリノで生まれ、その後イタリアのリミニに移り、20世紀中盤から後半に活躍したモダン・イタリーを代表する弦楽器製作者の一人です。
その作品は、大きく3期に分類されますが、中でも後期(黄金期)後半である1960年以降に製作された「ガルネリ・モデル」の作品は、非常に完成度が高く、収集家からも演奏家からも大変人気があります。また、このモデルは、ヴァイオリニストの「メニューイン」等が所有していたことでも広く知られております。

今回ご紹介する作品も、1962年に製作された「ガルネリ・モデル」の作品で、楽器のサイズ感が素晴らしく、特にリブが32mmと高めで、これが「ファニオラ」や「ビジャッキ」など、他のモダン・イタリーとの重要な違いとなります。
また、「カピキオーニ」の作品は、表板の木目を強調した楽器が殆どで、「ガルネリ・モデル」にありがちな下地を暗くする処置はせず、独自のオレンジゴールドのニスも明るく個性的なものになっています。
音の見地からも、一般的に「ガルネリ・モデル」の作品は、低音は素晴らしいものの、高音がつまり気味で、音抜けの悪い楽器が多いのですが、「カピキオーニ」の作品は、太くて力強い低音の奥深さに加え、明るく輝きのある高音の響きを両立させている事が、人気の所以と言えるでしょう。




「マリノ・カピキオーニ」の解説

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