TOURTE, Nicolas Pierre  通称 ‘TOURTE pere’c.1700 - 1764
ピエール・トゥールテ



ピエール・トゥールテは、現代のフレンチ弓を完成させたトゥールテ兄弟の父親です。
彼の両親に関しての記録や彼の誕生した日時などは現在も分かっていません。
残された僅かな記録から、彼が1700年前後に生まれた可能性が高く、また最初の結婚は1716年から21年頃に行われたと考えられます。今回は1700年に生まれたと仮定して、彼の生涯を追ってみたいと思います。


【 Nicolas Pierre TOURTE の生涯 】
1700この頃生まれたと考えられる。
172222歳大工であった Pierre はこの頃すでに Marie Jeanne Pomard と結婚していた。結婚した時、彼女には死別した前夫との間に生まれた二人の息子がいて、Pierre はその子供を認知した。
この時期、楽弓は、楽器のペグや弦と同じ様に単なる付属品と考えられており、一般的にはバイオリンの見習い職人や家具職人が製作していた。
173737歳義理の長男が結婚した時にも、Pierre は、まだ大工であった。
174242歳彼の妻の弟の遺言状に、Pirerre の職業が‘バイオリン職人’であったと記録されている。同時にかれは弓作りも行っていたとされる。
スティックは山型で、ヘッドは槍型のバロック式の一種。
この時期の弓には、スティックにいくつかあいた穴にフロッグをはめ込む Clip-in スタイルと Cremaillere スタイルが使用されていた。
この時期からアジャスターが取り入れられ、弓に革命的な発展をもたらした。
弓は徐々に山型からストレートな物に変化し、ヘッドは高くなっていった。
フロッグは平らで細身。
174343歳彼の最初の妻が他界した翌年、2月5日 Marguerite Genevieve Rollin と再婚した。
174646歳長男 Nicolas Leonard が生まれた。
174848歳次男 Francois Xavier が生まれた。
175656歳長男の Leonard が弓製作を習い始めた。
176060歳演奏家からの要望に答え、弓の改革を行った。
F.X.TOURTE はまだ時計職人の修行をしていた。
176464歳3月31日 他界した。


ニコラ・ピエール・トゥールテは、まさに、フレンチ弓の発起人といっても過言ではないでしょう。
大工であった、自分の職業を生かし、木材の加工技術や、金属の取り扱いに慣れ、新しい音楽に対応した新しい楽弓を作り上げる事に貢献しました。その意思は、息子のレオナルド、そしてフランソワ・トゥールテに引き継がれ、現在のフレンチ弓が完成したのです。その歴史の第一歩は、非常に重要な事であったと言えます。
しかし、この時代の弓は、皆同じ作りで製作されていた為に、ニコラ・ピエール・トゥールテの作品と判別できる弓は少なく、その特徴は、詳しく言及されていません。